こんにちは。デザイナーのあいはらです。この世はAI。現生も未来もAI。デザイン業界でも話題です。AdobeもChatGPTも生成AIでデザイン領域へのAI活用や画像生成をどんどん進み、未来が楽しみです。日々の業務でも背景の引き伸ばし、画像の切り抜き、再配色など精度が本当に高く、生産性への貢献は計り知れないです。
さて今回は、日々のデザイン業務の中で生成AIが作成するデザインはどこまで活用できるかをやってみました。
すでに色々な方が試されていますが、言語の問題、写真素材の問題、海外っぽいデザインになるなど、AIだけで100%のデザインを作るのはまだ早いことは分かっていますが、改めて現在どこまでできるか、どんなアウトプットだと実務に使えるかを検証してみるのが狙いです。
出来上がりデザインイメージは以下です。弊社でよく開催しているセミナーをもとネタにダミータイトルで作り直したものです。
ここまでをAIだけ作れるとしたらなんて楽になるだろうと思います。
実践
早速ですが、プロンプトを書いてみました。
セミナーを開催するので、バナーを作ってください。
- サイズ横1200px、縦630px
- タイトル「アライド社登壇 売上を拡大するUGC活用戦略」
- サブタイトル「生成から活用、分析まで。UGCを運用し続けることで効果が出るマーケティング活動とは」
- 日時「2023年12月15日(金)13:00〜15:00」
- 場所「オンライン開催」
- 登壇者「アライド株式会社 相司 幸」「アーキテクツ株式会社 原 司」
- 写真「2名」
トンマナは「マーケティングの先進性を感じるグラフィックデザイン」「信頼性を感じさせる色」のバナーを作ってください。
出来上がったバナーはドン。こんな感じです。
予想通りの仕上がりです。前談で書いた通り、日本語では作れないですし、海外っぽさがありますよね。
中央の丸囲みの人物も入れると人物写真が6人(!)になってます。
なので、
登壇者は2名だけなので、中央の4名の人物写真は削除してください。
と次の指示。出来上がったのは
です。
少しデザインもすっきりして、レイアウトの参考としては十分使えそう。。
でもなぜか人物が増えた。。。なぜだろう。。
さらにバナーサイズは1200px 630pxとしているのですが、パソコンmockの中に入ってる(そんな事書いてないのに)。
サイズいっぱいにデザインをしていただきたいところ。
ここで気がつくのですが「バナー」は「旗」の意味なので、最初のデザインが旗っぽいのは納得かも(?)
なので、さらに指示をしてみます。
人物写真は2名のみにしてください。
パソコンの中に画像入れないで、全面デザインにしてください。
とすると、こんな感じに。
とてもシュッとして、マーケティングっぽい先進性もある印象でとても良いのです。
しかしパソコンの外には出たけど、どんどん「旗」のデザインが強調されていく。。
なかなか噛み合わない生成AIのやり取り。。。
生成AIだけで100%なバナーが作れないことはすでに知られていますが、
あくまでも狙いはAIで作られた画像をどこまで活用できるのかです。
アウトプットの方向転換
文字の問題はどうしようもないので、背景などに使うグラフィックイメージを作ってもらう方向性に転換します。
プロンプトは
文字の要素はなく、グラフィックデザインだけです。
- マーケティングの先進性を感じる線や図形を使ってください
- 信頼性を感じさせる複数の色でグラデーションにしてください
- アンビエントなデザイン
- サイズ 横1200px 縦630px
出来上がりは、、、、
やっと通じた気がしました。
ちょっと暗い印象だけど、サイズ全面になり、アンビエントなグラフィックデザインになりました。
これを背景にしたデザインは作れそうです。
でも「信頼性」っていうともう少し白や青、緑などを使って欲しいと思いまして、さらにお願いを続けます。
もう少し明るい色を使って爽やかな印象にしてください。
使う色などを指定しないで、あえて抽象的なお願いに。出来上がったのは。。
明るい? 爽やか? そして文字が復活。中央にこじんまりと。ドロップシャドウも強い。
もう使う色を指定します。
青から緑の色になる綺麗なグラデーションを使ってください
文字は残るし、中央にこじんまりが変わらず。生成AIは中央に要素を寄せるのが好きみたいです。
文字を消してください。
消えたけど。
中の色の濃い部分だけの画像を作ってください
文字が復活。
どうにも噛み合わない。
グラフィックのみを作ってとお願いした最初の方がまだ使えるかもしれない。。
と思って、もう一度最初のプロンプトで、色を細かく指定してみると、、
そのままは使えないけど、Photoshopで加工すれば行けそう。。
とやり取りすること数十分。
そのまま使える画像素材を作ってもらうことは諦めました。
加工前提ですが、デザインのもとになる素材は手に入ったという印象です。
(僕のプロンプト力のなさは一旦置いておいて)現状では素材サイトで近しいイメージを加工して作る方が時間的には早いかも。
というわけで比較的イメージに近いアウトプットを加工して、背景に入れたバナーを作りました。
まあ、それっぽくなりました。
まとめると
- (知ってはいたけど)生成AIだけで商業バナーを作れるのはまだできない。
- 出来上がったバナーに対して指示をして、デザイン修正をしてもらうのは、なかなか分かり合えない。(アートディレクターと、デザイナーのような関係になるのはまだできない)
- (日本語の問題もあるため)文字の入らない背景に使うようなグラフィックを生成してもらうのはコツは必要だけどできそう。
- レイアウトの参考となるものは作ってくれる
- アイコンフォントなどで使える、フラットでシンプルなアイコンは精度高く作ってくれる
というところでしょうか。
Photoshopの生成塗りつぶしや画角が足りないところでの背景拡張などは相当な精度で使えますが、
生成AIだけでゼロから作ってくれ! っていうのはまだ図々しいわけでして、
まだまだ人間デザイナーも頑張って仕事します。
アライドアーキテクツでデザイナーをしています。最近は開発少なめ、マーケやPRと一緒にコミュニケーションデザインをすることが多いです。