金箱 遼

2013.08.14

なぜモニプラにクチコミ一覧ができたのか

こんにちは。エンジニアの金箱です。
日々、既存サービスをグロースさせるべく積極的に提案活動をしています。

最近リリースしたモニプラのクチコミ一覧も、そんな提案のうちの一つです。
http://monipla.jp/favorites

どういったサービスかというと、モニプラに集まった商品情報やクチコミレビューを一覧で見られるサービスです。
ユーザーが新しい商品/レビューに出会ってつながるを目的としています。

この機能ができたのは、データを背景とする発見と、サービスの成長による前提条件の変化があったためです。
今回の記事では、機能追加に至った思考をご紹介します。

Pin Up
Pin Up / Damian Gadal, on Flickr

ハックしたポイント

モニプラは、企業が登録した商品に対して、ユーザーが投稿したブログレビューが大量集まってくるサイトです。ブログレビューはモニプラにとってとても大切な資産です。
ところが、これら資産へアクセスする導線はとても弱く設計されていました。それは、”ブログレビューを集めるサイト”であるため、”ブログレビューを見せるサイト”ではないためです。

その一方で、じわじわと増えてきたブログレビューは、もはや資産と言っても良いほどの量になってきていました。もはや埋蔵金状態です。サービス設計を見直すことを考える段階に入ったと言えます。

今回実施したハックは、サービスの中にあるこの埋蔵金の掘り起こしです。

埋蔵金を発見したきっかけは下記の観測です。

①ユーザーのウォンツ
 ブログレビューをもっと見たいという声を、過去複数回のリスニングで把握していました。
②ユーザーの動向
 ブログレビューはロングテールでサイトや商品ページににアクセスをもたらしていました。
③コンテンツの高い質
 企業が作成したモニプラ上に作成した商品ページは、非常に高いCVRを叩きだしていました。とても優れたコンテンツでした。

ユーザーの行動を分析することで、このような観測をして(これだけではないですが)、埋蔵金を発見することができました。

サービスについて

サービス提供に当たっては、社内のメンバーとブレストを重ね、ターゲットを絞り、利用シーンを想定して今回リリースした形に落とし込みました。
ワイヤーが完成するまでの工数の半分以上をコンセプト策定に費やしました。
それによって、チームの軸が固まっていたため、後工程で揉めることがなく、全体工数を大幅に短縮できました。

見た目はPinterest風デザインです。画像を主体としたポートフォリオ系サービスでは、デファクトスタンダードなデザインのため採用しました。

中身は、ブロガーのレビューと商品ページを混在させているユニークな構成になっています。一見しただけでは、どれがレビューでどれが商品か分からないと思います。

通常の階層構造だと「 商品ページ一覧 → 商品ページ → ブロガーレビュー 」になりますが、
本サービスは「 商品ページ一覧 → 商品ページ or ブロガーレビュー」という構造にしています。
ユニークな概念です。

通常の階層構造をあえて無視して、「企業が商品を紹介する」ことと、「ブロガーが商品を紹介する」ことを行為の意味上で同じととらえて、2次元に配置しました。

ユニークな概念だからこそ、最後の最後まで「本当にユーザーに受け入れられるか…」という不安を抱えたままのリリースでした。しかし、本サービスは継続的開発を実施することを大前提に据えることで、社内でも説得力を増し、ユニークな概念のままリリースすることができました。

将来的な展開としては、サービス上でレビューを募ったり、キュレーターを養成したりといったことも考えられています。

哲学的考察

モニプラのブログレビューは、たんなるモニターレビューではなくて、ブログという一つのペルソナを通じたブロガーの自己表現&自己実現の手段という性質を持っています。
「ブログ」=「サードパーティーのメディアブランド」による、オフィシャルなレビューです。そういった、本質的価値を持っていると思っています。

レビューの立ち位置を、商品ページそのものと同等に引き上げるというパラダイムシフトは、これまでできていなかった、本質的価値の再発見だとも言えます。
レビューと言って、十把一絡げに扱うのではなく、1つ1つを大切に扱うということです。

Paradigm
Paradigm / pj_vanf Gadal, on Flickr

しかしこの考えは、自分自身のエゴイスティックな考えで、世間的にはまったく意味がありません。
意味があることは、訪問者が「面白いコンテンツがたくさん並んでいる面白いサービスだぞ」と思ってくれるだけです。
階層構造の違和感を感じずにサービスを楽しんでいただければ、施策は成功と言えます。

最後に

今のところ露出も少ないこともあって、訪問者数はモニプラ全体と比べると微々たるものです。
しかし、平均滞在時間が15分以上であったり、離脱率、訪問別ページ数も良好な数値を叩きだしています。
引き続き、成長させていきます。

今回のケースのように、長年運営を続けているサイトには、当初は考えられなかった資産価値が生まれ、誰にも気づかないまま埋もれてしまっていることも多いのではないでしょうか。
それを活用して、サービスに新たな価値を加えるのもとても大事なことだと思います。
日々の改善の積み重ねから、視線を少しずらして、「埋蔵金はないか?」という観点でサービスを見直してみるのも面白いと思います。

<モニプラのクチコミ一覧>
http://monipla.jp/favorites