yoshino

2025.07.04

アライド開発組織におけるAI活用の現状

はじめに

こんにちは、アライドに新卒入社して 3 年目の yoshino です。

今回の記事では、アライドの開発組織における AI 活用の現状について共有します。

下期から開発組織内で本格的に AX を推進していくことになり、その推進前後の結果を比較できるように 2025 年 6 月時点での現状を記録しておこうと思います。現時点で、どれくらいのメンバーが業務で AI を活用していて、実際にどんなツールを使っているのか、組織として AI 活用推進やツールの導入に対してどう向き合っているかをつらつらと書いていきます。

アライドに興味を持ってくださっているみなさんが、少しでも開発部の雰囲気を掴む一助となれば嬉しいです。

本題に入る前に

この記事は 100%人力で執筆しました。

 

導入済みの AI ツール

早速ですが、既に導入しているAIツールを紹介します。

コーディング支援

  • Cursor – リリースされた当初から一部メンバーで検証を回し、2025 年 4 月に導入。
  • Windsurf Editor – 2025 年 2 月から検証を実施し、2025 年 4 月に導入。
  • GitHub Copilot – リリースされた直後に導入。
  • Devin – 2025 年 4 月から検証を実施し、5 月に導入。

開発組織のメンバー全員分のライセンスを取得しており、Cursor もしくは Windsurf Editor のどちらか一方を選択できます(両方同時利用は不可)。月単位で切り替えも可能で、いくつか実績があります。会社として「これを使え」という押し付けはありませんが、現状 Cursor を使用しているメンバーがほとんどで、手元で AI エージェントを使える環境があります。

検証中のツール

現在進行系の検証ツールとして下記があります。

  • Claude Code – 2025 年 6 月から MAX プラン(月額$100)を契約して tech 会メンバー 2 名で検証中。(tech 会についての詳細は後ほど共有)

検証する際は既に導入済みのコーディングエージェントとの比較や、既存プロダクトの巨大なコードベースに対して有効か、仮に導入したとして、コストに見合った使い方ができるメンバーがどれくらいいそうかを見ています。

余談

ccusageを使用して、直近 1 ヶ月のコスト概算を計算してみたところ、およそ$600 でした。

 

導入を見送ったツール

参考までに検証を回したが導入に至らなかったツールを紹介します。

  • Cline – API 利用による従量課金。検証時に API 利用料金が初日で$700 を超えたことから、コスト管理が難しく、予測できないのとCursorやWindsurfを既に導入していたため、導入を見送りました。
  • Augment Code – 2 週間のお試し期間があったので検証。内部で使用されているモデルがブラックボックスなのと、Cursor や Windsurf などのリッチな機能を有したツールよりも敢えてこちらを選ぶ理由がなかったので導入を見送りました。
  • Gemini CLI – 検証結果はこちらの記事を参照してください

 

その他の AI ツール

コーディングエージェント以外にも様々な AI ツールを導入しており、代表例としてDifyを挙げます。

Dify でワークフローを組んで、定型業務の効率化からプロダクトレベルでの AI 機能の実現まで数多くの活用事例があります。

この記事の本筋とはずれる会社全体での AI 活用に関わる話ではありますが、ざっと目視で確認してみたところ、2024 5 月に Dify を導入してから500前後のチャットボットやワークフローが作成されています。実際には各プロダクトレベルで運用している Dify も存在するのでおよそ 600 ほどのチャットボットやワークフローを存在しています。もちろん、実情としては古い使われていないものが多数を占めるので、あくまですぐに数値化できるところの目安程度です。

 

どれくらい使われているか?

利用者の多い Cursor にフォーカスして、活用状況を定量的に見ていきます。
前提として、Cursor のライセンスを保有しているメンバーは 20 名で、その中には開発者だけではなく、PM、デザイナーも含まれます。また、各職種毎にハンズオンを実施しており、全員 Cursor を一度は使ったことがあるという状態です。

 

  • ・直近 1 ヶ月のアクティブユーザー数: 16
  • ・1 日あたりの全ユーザーのリクエスト回数は平均 200 回ほど

 

全く使っていないメンバーもいれば、500 回のプレミアムリクエストを優に超えて、$100 の従量課金にまで達しているメンバーもいます。コーディング業務をメインとした開発メンバーに限って言えば、日常的にエージェントを使って開発していることが見て取れます。

何を持って生産性が向上したかという議論はありますが、今後は活用度合いに加えて導入した AI ツールによってどれくらいの生産性が上がっているかをウォッチしていく必要があると思っています。

Tech 会について

プロジェクト発足の背景

背景を列挙すると以下のような感じです

  • ・有償ツールの検証・導入を特定の人に依存していた
  • ・検証フェーズに至ってはそのメンバーが自腹を切ってやっていた
  • ・プロダクト横断での技術課題の解決
  • ・共通コーディング規約の整備

 

何をしているか

上期と 2025 年 7 月以降の下期で Tech 会の活動目的・内容が大きく変わりそうなので、過去と未来で分けてみました。

これまで

  • ・プロダクト横断で共通の技術課題の解決や取り組みを牽引
  • ・共通コーディング規約の整備
  • ・有償ツールの検証・導入
  • ・上記に付随して、月次定例でのコンテンツ提供を兼ねたレポート共有

今後

  • ・AI 活用推進(詳細は今後詰めていく予定です)
  • ・AI ツールをただ使っている状態から使いこなせている状態に持っていく
  • ・ナレッジがメンバー間で共有され、継続して生産性を高く維持しつづける仕組みづくり
  • ・引き続き有償ツールの検証・導入

 

Tech 会自体の課題

言ってしまえば重要だけど緊急ではないプロジェクトです。各メンバーが責任を負ってコミットするモチベーションが特にないため、メインの業務に忙殺されて、結果として活動が滞ったりおざなりになったりしてしまいました。僕や一部のメンバーで引き続き有償ツールの検証・レポート・導入などは進めていましたが、当初掲げていた共通コーディング規約の作成など組織横断での課題解決や技術リードを実行できないまま上期を終えてしまいました。

以上を踏まえてメンバー自身がこのプロジェクトのコミットする意義を見いだせるように評価の調整や役割、メンバーの整理を実施しました。当初 7 人で構成されていましたが、下期からは僕を筆頭に 4 人で活動にコミットしていきます。

組織全体の課題

メンバー間で使いこなせている人とそうでない人の格差があるのが現状だと思っています。また、その差分を埋めるための仕組みや取り組みを十分に実施できていません。下期では、評価の項目にAI活用を取り入れ、ある程度の強制力をもたせつつ、周辺環境の整備をTech会がリードしていく予定です。

その他、ジュニアクラスのエンジニアに対する AI の取り扱いも課題として挙がっています。アライドでは新卒時に高度なプログラミングレベルを求めておらず、中長期で育成していく方針であるため、新卒入社時点ではエンジニアリングに関する知識や経験が浅い場合がほとんどです。そのため、新卒エンジニアに対して、AIの利用をどこまで許容するのかというのが問題になっています。とはいえ、全くAIを利用できないのも時代に取り残されていく一方なので、研修時には直接的な回答を控えて、課題解決までの道のりをサポートに徹するよう制御されたAIエージェントの使用が許可されています。AI活用と新米エンジニアとしての成長をどう共存させるか整備していく必要がありそうです。

まとめ

ここまで 、開発組織のAI活用やツール導入の現状を書き出してみました。
上期を振り返ってみて、Tech会として限られたメンバーなりにAIツールに対して検証を回して、いくつか全体導入までこぎつけたのは素直に良かったと思っています。
下期はアライドの開発組織がよりAIネイティブになれるような環境を作っていきます。
気が向けば、ビジネスサイド含めたアライド全体の AI 活用状況についても記事にしたいと思います。